こんにちは。
個人でアプリ開発しているYuKiOと申します。
本業は非IT企業の名前だけのCTOをしながら、主にツール系のアプリを10個リリースしています。
はじめに言っておくと、有料アプリで販売している理由の大半はお金を稼ぐためです !
やはりアプリ開発しているなら、稼ぎたい。欲を言うなら「5000兆円」くらい欲しいじゃないですか笑
というのは半分くらい冗談で、それだけの理由でこんなに高い価格設定でアプリを売り出したわけではありません。
今回は、「有料アプリを3,540円で販売した狙い」について掘り下げて話をさせてください。
3,540円の禁煙サポートアプリってどんなアプリ?
やっと💦 10作目のアプリをリリースできました🎉
なんと3,540円の禁煙サポートアプリです🚭
有料だからこそ本気になれる!
約50%が挫折する1週間禁煙 = タバコ節約(7箱)
で実質0円を目指すがコンセプト拡散頂けたら泣いて喜びます😂
■禁煙ジム KINEN GYM iPhone版https://t.co/yKf9IgytVX pic.twitter.com/NDSPIV8zaI— YuKiO|個人開発|Flutter × Firebase | 新作アプリリース準備中 (@oo_forward) September 2, 2021
リリースしたのは禁煙サポートアプリで、最新のAI機能を搭載している高性能なアプリではなく、禁煙をサポートする5つの機能を搭載したシンプルなアプリです。
・禁煙記録カウンター(節約金額、期間)
・禁煙瞑想モード
・禁煙脳トレモード
・禁煙腕立て伏せモード
・禁煙スクワットモード
こんなシンプルなアプリを3,540円という値付けにした理由ですが、機能を提供するのではなく、禁煙に挫折できない状況を提供することがこのアプリの最大の価値だと定義したからです。
仮に1日1箱500円のタバコを吸う人が1週間禁煙に成功すれば「アプリ代 ー 節約したタバコ代 =0円」になるというのをコンセプトにしています。
1週間禁煙が成功すれば、実質アプリ代は節約したタバコ代と相殺で、挫折すればアプリ代がまるまる損する状況になります。
禁煙版のライザップのようなイメージで、このアプリを購入することで、「禁煙をやめてしまったら大損する仕組み」 = 「禁煙に挫折できない状況」に自分を追い込むことができ、山場である最初の1週間を乗り換えるためのモチベーションのサポートできるのではと考えました。
またお金を出すという行為によって、禁煙をする覚悟のキッカケになるとも考え、金銭的なプレッシャーも一つの価値として、こんな価格設定にしたわけです。
有料アプリの価格っておかしくないですか?
AppStoreの有料アプリの価格相場を調べてみたことありますか?
目視で確認すると、ツールアプリの場合100円から500円程度が相場(2013年の古い記事だと日本の平均は200円前後でした。)で、高くても1000円前後。
不思議だと思いませんか?
パソコンソフトってもっと高く売っていますよね?たとえばゲームの桃鉄最新作は5,600円、ウイルスソフト4,000円、Officeソフトなんて12,000円です。
さらに視野を広げれば、「ダイエットの成功」という同じゴールなのに、ダイエットアプリは数百円なのに対して、ライザップのようなサービスでは数万円から数十万円で提供されています。
たしかにリアルビジネスではコストも掛かったりしますが、それにしてもアプリは何かと安く売られすぎていると感じました。
開発する機材も時間(制作・学習)も掛かっているのだから、もっと高くいいのではないでしょうか?
有料アプリの価格は、無意識に周りに影響されて価格を決定してしまう「アンカリング」が働いているかもしれません。(この後に話すAppleの呪縛があるかも。)
とはいえ、その相場は長年、試行錯誤した結果の上に決まったもので、それ以上の価格帯のアプリは全く売れないか、淘汰されていったのかもしれません。
冷静に考えて、「3,540円する禁煙サポートアプリなんて誰が買うの?」と思うのも事実。
3,540円の禁煙サポートアプリなんて売れない?それ、なんかデータあるんですか?
では、本当に買う人はいないのか?
実際、3,540円の禁煙アプリが販売されていない。
だから、売れない!
「それなんかデータあるんですか?それあなたの感想ですよね?」心の中のひろゆきさんが語りかけてくるわけです。
日本はバブル崩壊後ずっとデフレが続いているので、「安い」が美学になっているところがありません?
そんな環境で育ってきたので、何かと安く売ろうとしてしまうクセがついてしまっているのかもしません。
実際に日本で、良いもの安く提供する経営者は称賛、注目されますが、モノを高く提供する経営者は悪い意味では注目されても、良い意味で注目されることは少ないように思えます。
売れない = 価格が高い → 安くしよう という思考サイクルに囚われて、アプリの価格を決める時も、〇〇だから〇〇円以上だと売れないと勝手に限界を決めてはないでしょうか?
高い価格設定でアプリを販売した人がいないからこそ、アホみたいなことでも、どんな結果になるのか見てみたい。
そしてもし3,540円でもアプリが売れるのであれば、個人開発者の収益源としての可能性が広がるのではと考えて、あえて高額に設定したアプリの販売に挑戦しようと思いました。
アプリの機能だけの価格設定では限界がある
高額なアプリを販売すると言っても、そう簡単ではありません。
せっかく実験で販売するなら 、ターゲットユーザーが多い需要があるアプリジャンルで販売したいと思いました。
しかし、無料アプリがある中で機能の差別化だけで3,540円もの差をカバーして販売するのは至難の技です。(シンプル、高機能など)
最近、NFT(偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ)が流行っていますよね?
これって当時のプログラミングコードや最初のツイートに、「最初の〇〇〜、コピーではない」という証明がついただけで、実質ゼロ円みたいなものに数億円の価値がついたりしています。
つまり物自体に価値がなくても理由付けがあれば、特殊な機能がなくても差別化できるし、価値を付帯できる可能性があるのです。
今回作った禁煙サポートアプリは、そもそも求められる内容がシンプルで、競合の無料アプリもたくさんあるので、機能での差別化は特に難しいジャンル。
そこで無料アプリだからできない価値を提供しようと思い、価格にコンセプトを追加しようと考えた訳です。
価格にコンセプトをつけることで、機能を売る禁煙サポートアプリではなく、体験を売る禁煙サポートアプリを目指しました。
そして体験や価格を価値として提供することがうまくいけば、競合の参入がしづらい状況も生まれます。
そこまで大きな市場ではないため、後発の参入者になればなるほど旨味がなくなり、機能での差別化は難しいとなると、こちらは先行者利益を享受できているので有利です。
また価格が提供する価値となる場合、競合が価格を下げても、無料アプリとの差別化がうすくなるので、価格を下げることは良い打ち手ではありません。
逆に価格を上げる場合、価格を値上げするための明確な理由が必要になりますし、獲得できるターゲット数も減ると思います。
このように価格に意味を持たせることができれば、参入障壁になるかと思います。
価格設定について
高額なアプリですが、実際にいくらにするかが重要です。
価格設定はインパクトがありながら、現実的な根拠が必要になってくると考えました。
実はこのアプリ最初はタバコ代1ヶ月分として15,000円で販売する予定でした。
機能ではなく、体験として売るのであれば、それくらいのインパクトがほしい。
特に15,000円くらいになると、無駄になるのは超嫌だし、本当に辞めるにやめられない状況になると思ったからです。
しかし、審査に出したところ、激しいやりとりの後に、無惨にも却下となりました。
このあたりの審査については、こちらで詳細を話しているので聞いてみてください。
そこで禁煙経験で辛いのは最初の1週間ということで、失なうのはちょっと痛い金額として3,540円を最終的に設定しました。
最終的にマイルドになってしまったので、個人的には不満が残る結果になりましたが、どこかでもう1度1万円を超えるアプリ作りに挑戦したいと思っています。
最後に
どんなアイデアも実行しなければ、机上の空論。いくら頭で考えようが、いくらマーケティング戦略を駆使しようが、実際にやってみなければ結果はわかりません。
たぶん、この方法は失敗する可能性が高いと思います。
それでも実行することで、見えてくるものが必ずあるとも思っています。
さて、このアプリが売れるのか?
売れてくれたら嬉しいですし、話題になってくれたら嬉しいです。
ぜひ、面白かったたらシェアしていただけると幸いです。